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単行本:308ページ 価格:1680円
出版社:新潮社 初版:2009年5月
宝島社「このミステリーがすごい!」 2010年第9位
週刊文春ミステリーベスト10 2009年第9位
評価:85点
■あらすじ
酒屋で働く19歳の蓮と、その妹である中学生・楓。7カ月半前に母親が事故で死亡し、再婚したばかりだった継父・睦男が残された。睦男は母の死後暴力を振るうようになり、その後仕事もせず自室に籠もる日々。
一方、近所に住む中学生・辰也とその弟の小学生・圭介。彼らは母親を2年前に亡くし、父親は再婚後に病死。現在は継母・里江と暮らしているが、辰也は里江を拒絶している。そして台風の夜、事件が起きる。
ダ・ヴィンチ2009年08月号で、今月のプラチナ本に選ばれた作品。緊迫した展開、読みやすく頭に映像が浮かびやすい文章でグイグイ惹きこんでいく。内容の割にはそれほど重たさを感じさせないところがいい(ただ、結末部分はもう少し仕上げられた気がする)。1日で読みきるのに適当な長さと言えるだろう。
気になったことをいくつか。まず「龍」と「雨」の使い方。雨と台風は作品を演出する上で重要な役割を果たしているが、それと龍の絡ませ方がしつこく感じられた。作品の導入部分にやや難あり。また事件の真相に【ラットマン】と同じパターンが見られる。それでも、作品の全体的なクオリティは十分に高い。 (読了日:2009年11月22日)
作っている人:ガチャピン
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