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中原中也【月夜の浜辺】

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        「月夜の浜辺」 中原中也

          月夜の晩に、ボタンが一つ
          波打際に、落ちていた。

          それを拾って役立てようと
          僕は思ったわけでもないが
          なぜだかそれを捨てるに忍びず
          僕はそれを袂(たもと)に入れた。

          月夜の晩に、ボタンが一つ
          波打際に、落ちていた。

          それを拾って役立てようと
          僕は思ったわけでもないが
             月に向かってそれは放れず
             波に向かってそれは放れず
          僕はそれを、袂に入れた。

          月夜の晩に拾ったボタンは
          指先に沁み、心に沁みた。

          月夜の晩に、拾ったボタンは
          どうしてそれが、捨てられようか?


この作品を知ったのは、中高どちらかの国語の教科書だった。色々な教科書に載せられているので、ご存知の方もいるだろう。詩のリズム感が気に入ったので、当時私は暗記した。最近ふと頭に思い浮かんだので、記事にしたいと考えた次第。著者の中原中也について、自伝・評論などで調べてみた。年表にまとめると以下の通り。

 0歳  1907(明治40)年4月29日、現在の山口県山口市に生まれる。父は軍医で、
      地元の名士。
 8歳  3歳年下の弟亜郎が病死。その死を悼んで作った詩が、生まれて初めての作品。
13歳  県立山口中学に12番目の成績で入学。しかし読書に没頭して成績が下がりだす。
16歳  山口中学を落第。京都の立命館中学に転校。親は真面目に勉強して欲しいと
      思っていたが、中也は文学の道に進みたいと考えていた。この頃からダダイズムに
      傾倒するようになる。京都で女優志望の女性、長谷川泰子(3歳年上)と知り合う。
17歳  泰子と同棲開始(親には内緒)。中也は泰子を女房扱いしていたが、安定した関係
      ではなかった。
18歳  大学受験の為に、泰子と共に上京。小林英雄と知り合う。7ヶ月後に泰子が小林の
      元へ去り、大きなショックを受ける。
19歳  日本大学予科文科に入学するも、半年もたずに退学。以後しばらく文学活動に励む。
      21歳の時に父親が亡くなる。
24歳  東京外国語学校(現:東京外大)専修科仏語部に入学。当時フランスに行きたかっ
      たので、外務書記生試験を受けようと考えていた。4歳年下の弟恰三が肺結核で
      死亡(恰三は医者になる為に大学に通っていた)。中也、大いに落胆。
25歳  詩集『山羊の歌』が完成。予約販売しようと考え、150部の申し込みを期待した。だが、
      実際は10部だけ。自費出版を試みるも資金が足りず、ひとまず諦める。やがて神経症
      になる。
26歳  学校を卒業。遠縁の上野孝子と結婚。同年アルチュール・ランボーの訳詩集を出版。
27歳  長男の文也が誕生。ようやく『山羊の歌』を刊行。
29歳  文也が結核で病死。悲嘆に暮れる。重度の神経症になり、精神病院で療養。
30歳  郷里に戻ってやり直そうと考えていたが、1937(昭和12)年10月22日結核性脳膜炎で
      死亡。完成していた『在りし日の歌』が、死後刊行される。
 ※他にも色々な事は起きているが、文学活動についての記述は最低限に抑え、彼の作品に
   大きな影響を与えたと思われる出来事に焦点を当てた。

   中原中也(1907-1937)
中原中也長男でありながらも父の後を継いで医者にならず、文学の道を志した中也。失恋と身近な人間が亡くなった事は、彼にとって大きな衝撃だった(当時結核は死病)。ダダイズムの影響もあり、より虚無的なものに惹かれて作品を作っていく。ただ詩人として成功したとは言いがたい。350篇以上の作品を作ったが、生前に出版した本は『山羊の歌』1冊のみである。しかし彼の作品に見られる(危ういほどの)純粋さは、今日でもみずみずしく感じられる。それが死後70年近く経っても、人々の心に訴えかける理由だろう。

もう2つ、私の好きな作品を挙げる。他の作品も読みたい方は、こちらのページがおすすめ。
         「サーカス」

           幾時代かがありまして
             茶色い戦争ありました
           幾時代かがありまして
             冬は疾風吹きました
           幾時代かがありまして
             今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
               今夜此処での一と殷盛り

           サーカス小屋は高い梁(はり)
             そこに一つのブランコだ
           見えるともないブランコだ
           頭倒(さか)さに手を垂れて
             汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
           ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
           それの近くの白い灯が
             安値(やす)いリボンと息を吐き
           観客様はみな鰯(いわし)
             咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
           ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
           屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
           夜は刧々(こふこふ)と更けまする
           落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
           ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


          「汚れつちまつた悲しみに……」

            汚れつちまつた悲しみに
            今日も小雪の降りかかる
            汚れつちまつた悲しみに
            今日も風さへ吹きすぎる

            汚れつちまつた悲しみは
            たとへば狐の革裘(かはごろも)
            汚れつちまつた悲しみは
            小雪のかかつてちぢこまる

            汚れつちまつた悲しみは
            なにのぞむなくねがふなく
            汚れつちまつた悲しみは
            倦怠(けだい)のうちに死を夢む

            汚れつちまつた悲しみに
            いたいたしくも怖気(おぢけ)づき
            汚れつちまつた悲しみに
            なすところもなく日は暮れる……

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■コメント
Takahara_Mikako
- 2005/06/02 20:00
中原中也、結構好きです。男前だから。(あれ?)

★むむ、アカデミックなコメントを期待していたらこうきましたか…これはこれでMikakoさんらしい気もしますが(^^;) 確かに男前ですよね。

はらみょん - 2005/06/03 10:35
お久しぶりです。最近活動を再開しました^^; 中原中也は名前しか知らなかったです。 でも実は「月夜の浜辺」は昔父親が一番好きな詩だといってぼくに読ませた詩でした。 久しぶりに思い出しました。 文学的な話はぼくには出来ませんが、雰囲気は好きです。 久しぶりに文学作品を読んでみたくなりました。

★ご無沙汰してます。お父さんがこの詩を好きだったんですかー。わざわざ息子に読ませるとは、よっぽど気に入ってたんですね。私も普段詩を読むわけではないんですが、たまに接するのもいいものですね。

Birigian - 2005/06/03 23:58
私が図書室通いしてたのって小中学生時代までなので、ちゃんとした文学ってのには触れてないんですよね、実は。高校時代図書部長やらされたのに本、最低限しか読んでないし(苦笑) でも、リズムのいい、綺麗な詩ですね。綺麗すぎる気もしますけど。虚無と云われてちょっと納得してしまいました。

★いやいや、小中で読んだ本でも立派な文学だと思いますよ。図書部というのは初めて知りました。本を読んでなかったという事は、図書室で過ごすのがお好きだったんでしょうか? おっしゃる通り、綺麗すぎるという印象は受けます。綺麗なものは儚いですね。儚いから美しいのかもしれませんが…。
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