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オバマ大統領就任演説 全文

あなたは人目のお客様です。

現地時間の2009年1月20日に行われた、バラク・オバマのアメリカ大統領就任演説文をここに記す。08年アメリカ大統領選挙の勝利演説に続き、当ブログで取り上げた次第。英文はInternational Herald Tribuneが掲載したものを、和文はgooニュース 加藤祐子氏のものに一部手を加えた。日本でも様々なメディアが訳を乗せているが、恐らく彼女が最も良い翻訳をしていると思う(中には通訳が喋ったことをそのまま載せたような、ひどく読みづらいものもある)。

読み、聞いた印象について。当たり前といえば当たり前だが、アメリカについての話ばかりである。日本のメディアの報道を観ると、「オバマが大統領になるとアメリカが良くなり、アメリカが良くなると日本も良くなる」と訴える傾向が見られるが、とにもかくにも自国が最優先であることは間違いない。ちなみに、選挙中によく聞かれた"We can change"という文句は演説では使われず、"We must change"に変わっている。これも大統領になった決意の現われか。浮ついた内容はなく、決意のほどが窺い知れる。

また、随所にこれまでのアメリカの歴史を振り返り、生きた人々のことを誇り、国民の士気を高揚させている。そういったことは、日本ではまず見られない。政治家といっても、国によって話すことは随分違うものである。上杉隆の評は、なかなか面白い。スピーチは2:43から。

My fellow citizens:

I stand here today humbled by the task before us, grateful for the trust you have bestowed, mindful of the sacrifices borne by our ancestors. I thank President Bush for his service to our nation, as well as the generosity and cooperation he has shown throughout this transition.

市民の皆さん、

私は今日ここにこうして立ち、直面する責務を前に身が引き締まる思いです。そして同時に、皆さんが託してくださった信頼に感謝し、先祖たちの犠牲に思いを致しています。私はブッシュ大統領がこの国のために尽くしてくれたその献身に感謝し、さらにこの移行期を通じて示してくださった思いやりと協力に感謝します。

Forty-four Americans have now taken the presidential oath. The words have been spoken during rising tides of prosperity and the still waters of peace. Yet, every so often the oath is taken amidst gathering clouds and raging storms. At these moments, America has carried on not simply because of the skill or vision of those in high office, but because We the People have remained faithful to the ideals of our forbearers, and true to our founding documents.

So it has been. So it must be with this generation of Americans.

これまでに44人のアメリカ人が大統領の宣誓をしてきました。大統領の宣誓はこれまで、繁栄の波が高まる中で、そして平和という穏やかな海の中で、繰り返されてきました。しかしこの宣誓は時折、暗雲かき曇り嵐が吹きすさぶ中でも、繰り返されてきたのです。こうした時でもアメリカは歩き続けてきた。それはただ単に、高位高官にある者たちの才覚やビジョンによってではなく、「We the People (私たち)」が、祖先たちの理想を大事に守り続け、建国の文書に忠実であり続けたからです。(訳注・「We the People」とは合衆国憲法前文の冒頭)

これまでずっとそうでした。そして今の世代のアメリカ人にとっても、そうでなくてはなりません。

That we are in the midst of crisis is now well understood. Our nation is at war, against a far-reaching network of violence and hatred. Our economy is badly weakened, a consequence of greed and irresponsibility on the part of some, but also our collective failure to make hard choices and prepare the nation for a new age. Homes have been lost; jobs shed; businesses shuttered. Our health care is too costly; our schools fail too many; and each day brings further evidence that the ways we use energy strengthen our adversaries and threaten our planet.

私たちが危機の最中にあることは今や、周知のことです。この国は、暴力と憎しみを掲げる大規模ネットワークを相手に、戦争を戦っています。また、私たちの経済はひどく弱体化してしまった。一部の人の強欲と無責任のせいではあるが、私たちみんなが全体として、新時代に向けて厳しい選択をして国を準備してこなかったせいでもあります。おかげで人々は家を失い、職を失い、事業は閉ざされてしまった。私たちの医療保険は高過ぎる。この国の学校はあまりにあちこちで破綻しすぎている。そして私たちのエネルギーの使い方は、敵を勢いづけて、この惑星を脅かしている。その新しい証拠が、連日のようにあがってくる。

These are the indicators of crisis, subject to data and statistics. Less measurable but no less profound is a sapping of confidence across our land — a nagging fear that America's decline is inevitable, and that the next generation must lower its sights.

Today I say to you that the challenges we face are real. They are serious and they are many. They will not be met easily or in a short span of time. But know this, America — they will be met.

どれもこれも危機の指標として、データや統計で計れるものです。それに比べて、数字では計りにくいが同じくらい重大なのが、国中にはびこる自信の喪失です。アメリカの衰退は避け難いものだという、いかんともしがたい恐怖。そして次世代の国民は期待の水準を下げなくてならないという不安。こういう自信の喪失のことです。

私は今日、みなさんにはっきり言います。私たちが直面する課題は、本物です。課題は深刻で、たくさんあります。簡単に解決できないし、短期的に解決できるものでもありません。けれどもアメリカよ、これは知っておいてもらいたい。課題は、解決します。

On this day, we gather because we have chosen hope over fear, unity of purpose over conflict and discord.

On this day, we come to proclaim an end to the petty grievances and false promises, the recriminations and worn out dogmas, that for far too long have strangled our politics.

私たちが今日のこの日、ここに集まったのは、恐怖よりも希望を選び、対立と不和よりも、目的のための団結を選んだからです。

今日のこの日に私たちは、つまらないいさかいや偽りの約束はもう終わりだと、そう宣言するためにやってきました。この国の政治をあまりにも長い間、身動きできなくしてきた非難中傷合戦や使い古された定説はもう終わりだと。

We remain a young nation, but in the words of Scripture, the time has come to set aside childish things. The time has come to reaffirm our enduring spirit; to choose our better history; to carry forward that precious gift, that noble idea, passed on from generation to generation: the God-given promise that all are equal, all are free and all deserve a chance to pursue their full measure of happiness.

私たちはまだ若い国です。けれども聖書の言葉を借りるなら、子供っぽいことはもうやめるべき時です。今こそ、私たちの不屈の精神を再確認する時です。自分たちのより良い歴史を選びとり、世代から世代へと受け継がれてきたあの貴重な財産、あの崇高な理想を、さらに前へ掲げて推進すべき時です。私たちの貴重な財産、崇高な理想とは、あらゆる者は平等で、全ての人が自由で、誰もが最大限の幸福を追求する機会を与えられる権利をもっているのだという、あの神から与えられた約束のことです。

In reaffirming the greatness of our nation, we understand that greatness is never a given. It must be earned. Our journey has never been one of shortcuts or settling for less. It has not been the path for the faint-hearted — for those who prefer leisure over work, or seek only the pleasures of riches and fame. Rather, it has been the risk-takers, the doers, the makers of things — some celebrated but more often men and women obscure in their labor, who have carried us up the long, rugged path towards prosperity and freedom.

この国がいかに偉大な国か再確認するにあたって、私たちは、何をしなくても当然のこととして偉大な国などないのだと承知しています。偉大さとは、努力して獲得しなくてはならないものです。長い旅路を歩んできたこの国は、これまでも決して近道をしたり、適当なところで妥協したりしなかった。私たちの旅は、気の弱い人たちには不向きな道中だった。気の弱い人たち。働くよりも楽をしたい人たち。富や名声の楽しみだけ求める人たち。そういう人たちは、私たちの旅路には向かない。それよりも、長く険しい道を登って、私たちのこの国を繁栄と自由に向けて引き上げてくれたのは、危険を恐れない人たち、実行力ある人たち、ものを自分の手で作る人たち、そういう人たちでした。中には功績を賞賛された人たちもいますが、多くの場合は、決して名声を得ることなく地道に働き続けた人たちなのです。

For us, they packed up their few worldly possessions and traveled across oceans in search of a new life.

For us, they toiled in sweatshops and settled the West; endured the lash of the whip and plowed the hard earth.

For us, they fought and died, in places like Concord and Gettysburg; Normandy and Khe Sanh.

そういう働く人たちが私たちのために、ほんのいくらかの持ち物を荷物にまとめて、新しい生活を求めて、様々な大海を渡ってきた。

そういう人たちが私たちのために、ひどい環境と低賃金の工場で働き、そして西部を開拓してくれたのです。そういう人たちが私たちのために、むち打たれても耐えて、固い大地を耕してくれたのです。

そういう人たちが私たちのために、コンコード(独立戦争)やゲティスバーグ(南北戦争)やノルマンディー(第2次世界大戦)やケサン(ベトナム戦争)といった戦場で戦い、そして死んでいったのです。

Time and again these men and women struggled and sacrificed and worked till their hands were raw so that we might live a better life. They saw America as bigger than the sum of our individual ambitions; greater than all the differences of birth or wealth or faction.

こういう男たち、女たちは繰り返し繰り返し、私たちがより良い生活を送れるようにと、苦闘し、自らを犠牲にし、自分の手がボロボロになるまで働いてくれたのです。その人にとってアメリカとは、個人個人の希望の単純な総和よりも大きいものだった。一人一人の生まれや財産や所属の違いよりも、もっと大きな偉大なものだった。

This is the journey we continue today. We remain the most prosperous, powerful nation on Earth. Our workers are no less productive than when this crisis began. Our minds are no less inventive, our goods and services no less needed than they were last week or last month or last year. Our capacity remains undiminished. But our time of standing pat, of protecting narrow interests and putting off unpleasant decisions — that time has surely passed. Starting today, we must pick ourselves up, dust ourselves off, and begin again the work of remaking America.

そしてその同じ旅路を、私たちも続けているのです。この国は依然として、この地球上で最も豊かな、最強な国です。この国の労働者は危機が始まった時と比べて、決して生産性が落ちたわけではない。私たちの創造性が低下したわけでもなければ、先週や先月や去年に比べてこの国の製品やサービスに対する必要性が減ったわけでもない。私たちの能力は衰えていない。けれども、何もせずに済む時代は終わりました。つまらない利益を死守したり、不愉快な決断を先送りしたり、そんなことをしていられる時間は、確実に終わったのです。今日から私たちは、自力で立ち上がり、塵を払って、アメリカを再生するため再び働き始めなくてはなりません。

For everywhere we look, there is work to be done. The state of the economy calls for action, bold and swift, and we will act — not only to create new jobs, but to lay a new foundation for growth. We will build the roads and bridges, the electric grids and digital lines that feed our commerce and bind us together. We will restore science to its rightful place, and wield technology's wonders to raise health care's quality and lower its cost. We will harness the sun and the winds and the soil to fuel our cars and run our factories. And we will transform our schools and colleges and universities to meet the demands of a new age. All this we can do. All this we will do.

なぜなら、どこに目をやっても、やらねばならない仕事だらけだからです。この国の経済状態は大胆で素早い行動を必要としています。そして私たちはただ新しい雇用創出のためだけでなく、新しい成長の基盤づくりのために行動します。商業を支えて私たちを結びつける道路や橋、送電網やデジタル回線を作ります。科学を本来の地位に復権させ、医療の質向上と価格引き下げのために最新技術を駆使していきます。私たちは、自動車を走らせ工場を動かすために、太陽と風と大地のエネルギーを活用していきます。そして私たちは、新時代の要求に応えるよう、学校や大学を改革していきます。どれもできることばかりです。どれも、これから実現していくのです。

Now, there are some who question the scale of our ambitions — who suggest that our system cannot tolerate too many big plans. Their memories are short. For they have forgotten what this country has already done; what free men and women can achieve when imagination is joined to common purpose, and necessity to courage.

私たちは野心的すぎるのではないかと懸念する人もいます。大計画ばかり立てても、国のシステムはそれを受け付けないと。そう言う人たちは、最近のことしか覚えていないのです。この国がこれまでにどれだけのことを実現してきたか忘れてしまっているのです。共通の目的に想像力が結び付き、勇気に必要性が結び付いたとき、自由な人々にどれほどのことができるのか。

What the cynics fail to understand is that the ground has shifted beneath them — that the stale political arguments that have consumed us for so long no longer apply. The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works — whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified. Where the answer is yes, we intend to move forward. Where the answer is no, programs will end. Those of us who manage the public's dollars will be held to account — to spend wisely, reform bad habits, and do our business in the light of day — because only then can we restore the vital trust between a people and their government.

シニカルで懐疑的な人たちには分からないのです。足下の地面が、とっくに動いてしまったことを。私たちをずっと巻き込んでいた中身のない政争は、もう意味がないのだと。今日のこの日に私たちが問いかけているのは、政府が大きすぎるか小さすぎるかではなく、政府がきちんと機能しているかどうかです。国民がまともな給料の仕事を見つけられるよう、政府が協力しているかどうか。高すぎない医療サービスが提供できているかどうか。尊厳ある引退生活を提供できているかどうか。「イエス」と言える分野についてはこのまま続行するし、「ノー」と言う分野についてはその政府事業は終わりにします。そして国民の税金を扱う我々は、賢明に使い、悪い習慣を改善し、透明性の高い形で仕事をするよう、責任を負う。そうしなければ、国民と政府の間に不可欠な信頼を回復できないからです。

Nor is the question before us whether the market is a force for good or ill. Its power to generate wealth and expand freedom is unmatched, but this crisis has reminded us that without a watchful eye, the market can spin out of control — and that a nation cannot prosper long when it favors only the prosperous. The success of our economy has always depended not just on the size of our gross domestic product, but on the reach of our prosperity; on our ability to extend opportunity to every willing heart — not out of charity, but because it is the surest route to our common good.

同様に、問われるべきは市場の善悪ではありません。富を作り出し自由を拡大するためのものとして、市場ほど強力なものはない。けれども今回の危機で、きちんとした監督がなければ、市場は無軌道で野放図な動きをしてしまうと、改めて思い知らされました。さらには、富める者しか厚遇しない国は、あまり長いこと繁栄できないのだということも、今回改めて分かりました。昔からそうだったが、この国の経済がうまく行くために大事なのは、国内総生産の規模だけではなく、その繁栄がどこまで届いているかなのです。大事なのは、やる気のある全ての人に私たちがいかにチャンスを提供できるかです。慈善でそうするのではなく、その方が確実に国民全員の利益にかなうからするよう、チャンスを提供できるかどうか。

As for our common defense, we reject as false the choice between our safety and our ideals. Our founding fathers ... our found fathers, faced with perils we can scarcely imagine, drafted a charter to assure the rule of law and the rights of man, a charter expanded by the blood of generations. Those ideals still light the world, and we will not give them up for expedience's sake.

And so to all the other peoples and governments who are watching today, from the grandest capitals to the small village where my father was born: know that America is a friend of each nation and every man, woman, and child who seeks a future of peace and dignity, and that we are ready to lead once more.

国民の防衛について言えば、安全と理想は両立できないという主張は嘘だと断言し、拒絶します。この国の建国の父たちは、私たちには想像もできないような困難を前に、法の支配と人権を保障する章典を起草しました。この権利章典はその後の世代が血を流して戦い、内容を拡大してきました。そこで掲げられた理想はいまだに世界を照らしています。その方が便利だからと手放したりするつもりは、全くない。

なので、今日この日を見守っているほかの国々の人々や政府に申し上げたい。壮麗な首都の人たちから、私の父が生まれた小さな村の人たちにまで。皆さんに申し上げます。アメリカは、平和と尊厳の未来を求める全ての国とあらゆる男女や子供の友人です。そしてさらに。私たちは再び、世界をリードする用意ができています。

Recall that earlier generations faced down fascism and communism not just with missiles and tanks, but with sturdy alliances and enduring convictions. They understood that our power alone cannot protect us, nor does it entitle us to do as we please. Instead, they knew that our power grows through its prudent use; our security emanates from the justness of our cause, the force of our example, the tempering qualities of humility and restraint.

昔の人たちは、ファシズムや共産主義と戦うにあたって、ただミサイルや戦車に頼ったのではなく、強固な同盟関係や、揺るぎない確信を拠り所にしていたものです。それを思い出してみてください。先達たちは、自国の力だけで自分たちを守れるものではないと理解していたし、いくら自分たちに力があるからといって好き勝手をしていいというものではないとも理解していた。その代わり先達たちは、力というのは賢明に使えばこそ育つものだと理解していました。国の安全は、国の主張の正当性や、規範としての説得力から生まれるものだと、謙遜と自制という穏やかな資質から生まれるものだと。

We are the keepers of this legacy. Guided by these principles once more, we can meet those new threats that demand even greater effort — even greater cooperation and understanding between nations. We will begin to responsibly leave Iraq to its people, and forge a hard-earned peace in Afghanistan. With old friends and former foes, we will work tirelessly to lessen the nuclear threat, and roll back the specter of a warming planet. We will not apologize for our way of life, nor will we waver in its defense, and for those who seek to advance their aims by inducing terror and slaughtering innocents, we say to you now that our spirit is stronger and cannot be broken; you cannot outlast us, and we will defeat you.

この伝統を守っていくのが、私たちです。改めてこの行動規範に導かれ、私たちはもっとさらなる努力と協力と国家間の理解を必要と擦る新しい脅威に立ち向かって行くことができる。私たちは責任を持って、イラクをイラクの人々に託していく、そのプロセスを開始します。そして私たちは責任をもって、努力して勝ち取った平和をアフガニスタンに築き上げて行きます。古い友人たちやかつての敵対国と共に、私たちは核の脅威を軽減するために不屈に努力し、そして温暖化する惑星という恐怖を巻き返して行きます。自分たちのライフスタイルを謝るつもりはないし、ライフスタイルを守るのに何を臆するつもりもない。そして恐怖をもたらし無実の人々を惨殺することで目的を果たそうとする連中には、今ここで言う。お前たちよりも我々の心は強く、決してくじけたりしない。お前たちが私たちよりもしぶとく生き残るなどありえず、我々はお前たちを打ち砕く。

For we know that our patchwork heritage is a strength, not a weakness. We are a nation of Christians and Muslims, Jews and Hindus — and non-believers. We are shaped by every language and culture, drawn from every end of this Earth; and because we have tasted the bitter swill of civil war and segregation, and emerged from that dark chapter stronger and more united, we cannot help but believe that the old hatreds shall someday pass; that the lines of tribe shall soon dissolve; that as the world grows smaller, our common humanity shall reveal itself; and that America must play its role in ushering in a new era of peace.

なぜなら私たちは、この国のつぎはぎな伝統が決して弱点などではなく、むしろ長所だと知っているから。この国はキリスト教徒とイスラム教徒と、ユダヤ人とヒンズー教徒と、そして信仰をもたない人たちが集まった国です。地球上のあらゆる場所からもたらされた、あらゆる言語とあらゆる文化で形作った国です。そして私たちは自分たちが、南北戦争という内戦や人種隔離という苦汁をなめ、暗い時代から前よりも力を付けて、前よりも団結してはい出してきた過去があるからこそ、古い怨恨はいつか必ず乗り越えられるものだと信じずにはいられないのです。部族の壁はいつか近いうちになくなり、そして世界がどんどん狭くなるに連れて、人類共通の人間性が表面に浮上してくるだろうと。新しい平和の時代を呼び込むため、アメリカも自分たちの役割を果たさなくてはならないと。そう信じずにはいられないのです。

To the Muslim world, we seek a new way forward, based on mutual interest and mutual respect. To those leaders around the globe who seek to sow conflict, or blame their society's ills on the West — know that your people will judge you on what you can build, not what you destroy. To those who cling to power through corruption and deceit and the silencing of dissent, know that you are on the wrong side of history; but that we will extend a hand if you are willing to unclench your fist.

ムスリム圏には、相互利益とお互いを尊敬し合う気持をベースに、新しく前に進む方法を探しています。対立を広め、自分たちの社会の問題を欧米のせいにしたい指導者たちには、こう申し上げる。国民は、あなたが何を滅ぼすかで指導者を評価しない。何を作り上げるかで、指導者を評価するのだ。腐敗と不正と批判意見を圧殺することで権力を死守する人々に申し上げる。あなたたちは、歴史に断罪される側にいる。しかしもし握っている拳を緩める気持ちがあるのなら、私たちは手を差し伸べるだろう。

To the people of poor nations, we pledge to work alongside you to make your farms flourish and let clean waters flow; to nourish starved bodies and feed hungry minds. And to those nations like ours that enjoy relative plenty, we say we can no longer afford indifference to the suffering outside our borders; nor can we consume the world's resources without regard to effect. For the world has changed, and we must change with it.

貧しい国の人たちへ、誓います。みなさんの畑を豊かにし、清潔な水が流れるよう、飢えた人々を満たし、知識を求めてやまない頭脳に栄養を与えるよう、私たちはみなさんと一緒に働きます。そして私たちのこの国と同じように比較的豊かだと言える国には、こう申し上げます。私たちの国境の外で苦しんでいる人々に、もうこれ以上無関心でいるわけにはいきません。またこれ以上無思慮に、世界の資源を使い続けるわけにもいきません。世界は変わったのだから、私たちもそれに合わせて変わっていかなくてはならないのです。

As we consider the road that unfolds before us, we remember with humble gratitude those brave Americans who, at this very hour, patrol far-off deserts and distant mountains. They have something to tell us, just as the fallen heroes who lie in Arlington whisper through the ages. We honor them not only because they are guardians of our liberty, but because they embody the spirit of service; a willingness to find meaning in something greater than themselves. And yet, at this moment — a moment that will define a generation — it is precisely this spirit that must inhabit us all.

目の前に広がる道筋を眺めながら、まさに今このとき、遠い砂漠やはるかな山岳で警備にあたっている勇敢なアメリカ人たちを思い、謙虚に感謝します。今の兵士たちは多くのことを教えてくれるし、アーリントンの国立墓地に眠る戦死者たちは、時を超えて囁き続けています。兵士たちを称えるのは、私たちの自由を守ってくれるからだけではなく、奉仕の精神を体現しているからです。自分たちよりも大きな何かに意味を見出そうという、その意欲のことです。そして今この時、私たちの時代を決定付けようというまさにこの瞬間、私たち全員に求められてるのは文字どおり、この奉仕の精神なのです。

For as much as government can do and must do, it is ultimately the faith and determination of the American people upon which this nation relies. It is the kindness to take in a stranger when the levees break, the selflessness of workers who would rather cut their hours than see a friend lose their job which sees us through our darkest hours. It is the firefighter's courage to storm a stairway filled with smoke, but also a parent's willingness to nurture a child, that finally decides our fate.

なぜなら、確かに政府は多くのことができるし、多くのことをしなくてはならないわけですが、究極的には、この国が頼みにしているのは、アメリカ国民の信念と決意のほどなのですから。それはたとえば、防波堤が決壊したときに赤の他人を自分の家に迎え入れる優しさだったり。仲間が職を失うのを見るよりは自分の勤務時間を減らした方がいいという無私な労働者の思いやりだったり。真っ暗な時代を私たちが乗り越えていくには、国民のそういう心持ちが必要なのです。私たちの運命を最後に決めるのは、煙が充満した階段に飛び込んでいく消防士の勇気もそうですし、あるいは子供を育てようという親のやる気でもあるのです。

Our challenges may be new. The instruments with which we meet them may be new. But those values upon which our success depends — hard work and honesty, courage and fair play, tolerance and curiosity, loyalty and patriotism — these things are old. These things are true. They have been the quiet force of progress throughout our history. What is demanded then is a return to these truths. What is required of us now is a new era of responsibility — a recognition, on the part of every American, that we have duties to ourselves, our nation, and the world, duties that we do not grudgingly accept but rather seize gladly, firm in the knowledge that there is nothing so satisfying to the spirit, so defining of our character, than giving our all to a difficult task.

私たちは新しい課題に直面するかもしれません。取り組むための道具も、新しいものかもしれません。しかし私たちが成功するには、勤勉や正直、勇気や公平、寛容と好奇心、忠誠と愛国心といった価値観が必要なのです。昔からの古い価値観です。真実の、本物の価値観です。そういう価値観こそが、私たちの歴史をずっと静かに前進させてきたのです。今何が求められているかというと、こういう真実に立ち返ること。私たちに今求められているのは、新しい責任の時代に入ることです。全てのアメリカ人が、自分たち自身への責任と、国への責任と、世界への責任を認識することが必要です。嫌々、不承不承に責務を担うのではなく。難しい仕事に全身全霊を尽くすことほど、心が充実し、人格を作り上げてくれるものはないのだとしっかり認識した上で、進んで喜んで責任を受けれいることが、今必要なのです。

This is the price and the promise of citizenship.

This is the source of our confidence — the knowledge that God calls on us to shape an uncertain destiny.

This is the meaning of our liberty and our creed — why men and women and children of every race and every faith can join in celebration across this magnificent Mall, and why a man whose father less than sixty years ago might not have been served at a local restaurant can now stand before you to take a most sacred oath.

それこそが、市民社会の負担と約束です。

私たちの自信も、そこから来るのです。不確かな運命を自ら作り上げていくよう、私たちひとりひとりに神が求めてくださっているという、その認識に支えられているのです。

私たちの自由と、私たちの信念には、そういう意味があるのです。なぜあらゆる人種と信仰の人々が、男性も女性も子供もみんなこの素晴らしいナショナル・モール(ワシントンD.C.にある国立公園)にこうして集まり、一緒に祝うことができるのか。60年にもならない昔だったら、この近所のレストランで注文さえさせてもらえなかったはずの父をもつ男が、なぜ今こうして皆さんの前で最も崇高な誓いをたてることができたのか。

So let us mark this day with remembrance, of who we are and how far we have traveled. In the year of America's birth, in the coldest of months, a small band of patriots huddled by dying campfires on the shores of an icy river. The capital was abandoned. The enemy was advancing. The snow was stained with blood. At a moment when the outcome of our revolution was most in doubt, the father of our nation ordered these words be read to the people:

なのでぜひ今日のこの日、自分たちが何者で、どれだけ進歩してきたか改めて心に刻んで、記念としましょう。アメリカが誕生した年の、極寒の月のことです。凍てつく川辺で消えてしまいそうな焚き火を囲んで、いくばくかの愛国兵たちが身を寄せ合っていた時のことです。首都は見捨てられ、敵軍は前進していた。雪は血で染まっていた。独立戦争の行方がもっとも疑わしかったその瞬間に、この国の建国の父は、兵士たちにこの言葉を読み聞かせるよう指示したのです。

"Let it be told to the future world ... that in the depth of winter, when nothing but hope and virtue could survive...that the city and the country, alarmed at one common danger, came forth to meet (it)."

America, in the face of our common dangers, in this winter of our hardship, let us remember these timeless words. With hope and virtue, let us brave once more the icy currents, and endure what storms may come. Let it be said by our children's children that when we were tested we refused to let this journey end, that we did not turn back nor did we falter; and with eyes fixed on the horizon and God's grace upon us, we carried forth that great gift of freedom and delivered it safely to future generations.

Thank you. God bless you. And God bless the United States of America.

「未来の世界に伝えるべし。希望と善行しか生き残れないような厳冬の極寒の中、共通するひとつの危険に危機感を抱いた街と国は、危険に立ち向かうべく乗り出したのだ」

アメリカよ。困難ひしめくこの冬にあって、共通するひとつの危険を前にした今、この時代を超えた言葉を覚えておきましょう。希望と善行をもって、氷浮く凍てついた激流に再び挑んで、どんな嵐がやってこようとも耐えしのぎましょう。子供たちの子供たちが語り継いでくれるように。試されたとき、私たちはこの旅路の中止を受け入れなかったと。後戻りもしなかったし、ふらつきもしなかったと。そして地平線をしっかり見据え、神の恩寵を身に受けて、自由という偉大な賜物を携えて前に進み、それを未来の世代に無事に伝えていったのだと。

ありがとう。神の祝福がありますように。そして神がアメリカ合衆国を祝福くださいますように。

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東京のIT系企業に勤める男。1977年生まれ。趣味は読書、スポーツ観戦、トレーニング、ブログ、映画鑑賞。

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