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司令塔論

あなたは人目のお客様です。

サッカー報道でよく目にする言葉、司令塔。どういう特徴の選手を連想するだろうか?恐らく「パスがうまい」「フリーキックがうまい」「テクニックがある」…この3つではないだろうか。他にもゲームメーカー 10番 トップ下という言葉を聞く機会が多い。マスコミの多くはどれも同義語として扱っている。司令塔を英語でいうとゲームメーカーで、背番号10をつけていて、トップ下でプレーしている選手といった具合である。ファンの中でもそう認識している人が多い。だが、私はその事にずっと疑問を感じてきた。それらは決して、同じものではない。同じと認識する事は、サッカーをつまらなくしているとすら思う。

◆ 司令塔の系譜

現在につながる司令塔のイメージが確立されたのは、1980年代の事である。才能あふれるOH(オフェンシブ・ハーフ=攻撃的ミッドフィルダー)が世界に登場した。ジーコ(ブラジル)、プラティニ(フランス)、マラドーナ(アルゼンチン)といった選手達である。ドリブル、パス、シュート、フリーキック…どれをとっても一流。背番号10をつけた彼らはチームの中心であり、フィールドの王様だった。漫画『キャプテン翼』の主人公大空翼も、このOHである。この頃日本ではゲームメーカーと呼ばれる事の方が多かった。

1990年代になると、選手の個性よりも組織力が重視されるようになる。その代表例が、サッキ監督が率いたミラン。ディフェンスラインを押し上げて前線との距離を短く保つコンパクトサッカー、ボールを持った選手を複数で囲むゾーンプレスが、世界を席巻する。それまでのように、時間とスペースにゆとりを持ってプレーする事が出来なくなった。DFとMFに挟まれる地域(バイタルエリア)の中でもトップ下は激しく削られるので、司令塔は次第にポジションを移すようになる。各ポジションごとに紹介しよう。

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○DH ディフェンシブ・ハーフ / CH セントラル・ハーフ

日本ではボランチ{ポルトガル語でハンドル、舵取り}という言葉で親しまれる。広い視野を持ち、ボールを散らしてリズムを作り出す役目を担う。長く正確なボールを蹴れて、ミドルシュートを得意としている選手が多い。ある程度以上の守備力は必須。MF4人を横に並べるフォーメーションでは4人ともCHというが、その場合は中央の2人を指す。

代表的選手
バラック(ドイツ) カンビアッソ(アルゼンチン) シャビ シャビ・アロンソ(共にスペイン) ピルロ(イタリア) ランパード ジェラード(共にイングランド)
        Andrea Pirlo(ITA)              Steven Gerrard (ENG)
Andrea Pirlo   Steven Gerrard

○SH サイドハーフ

フォーメーションによってウイングやウイングバックと呼ばれる事もあるが、前の方に位置するサイドアタッカーを指す。必要なのは、第一にスタミナ。すぐバテるようでは、このポジションは務まらない。スピードのあるドリブラーが目に付く。伝統的にサイド攻撃を好むイングランド及びプレミアリーグでよく見られるタイプ。若手で有望な選手が多く、現在最も注目されているポジションである。

代表的選手
ギッグス(ウェールズ) ベッカム ジョー・コール(共にイングランド) ロッベン ファン・ペルシー(オランダ) ダフ(アイルランド) ホアキン(スペイン) フィーゴ C・ロナウド(共にポルトガル)
        Arjen Robben (HOL)            Joaquin Sanchez (SPA)
Arjen Robben     Joaquin Sanchez

○OH オフェンシブ・ハーフ

全体的に数は減り、単独でこなすケースも少なくなった。4-2-3-1や4-1-4-1のように、複数の選手がバイタルエリアでプレーする事が多い。概ねテクニックのある選手が任されているが、パスしか特徴のない選手は伸び悩む傾向あり。チームのサッカーやFWとの相性に出来が大きく左右されるからである。価値の高いスキルは得点力。セカンドストライカーの役割を果たせるかどうかが、成功と失敗の分かれ目。

代表的選手
ジダン(フランス) デコ ルイ・コスタ(ポルトガル) カカー(ブラジル) アイマール リケルメ(共にアルゼンチン) スコールズ(イングランド) ネドヴェド ロシツキー(共にチェコ)
        Ricardo KAKA (BRA)              Pablo Aimar (ARG)
Ricaldo KAKA     Pablo Aimar

○FW フォワード

得点力が高い選手は、より前の方でプレイするようになった。渡ってきたボールをシュートに持ち込む事もあれば、キープして他の選手にパスを出す事も。総合的に高い能力が求められる。イタリアのようにFWの責任が重い国で、選手が育ちやすい。

代表的選手
R・バッジオ ゾラ トッティ(共にイタリア) ストイコビッチ(セルビア・モンテネグロ) ベルカンプ(オランダ) リバウド ロナウジーニョ(共にブラジル)
        Francesco Totti (ITA)          Ronaldinho Gaucho (BRA)
Francesco Totti     Ronaldinho Gaucho

※複数のポジションをこなす選手が多いので、あくまで一例である。
また背番号10についてだが、現在はこだわりを持っている選手が減った。ファンニステルローイ (マンチェスター・ユナイテッド)、デル・ピエロ(ユヴェントス)、アドリアーノ(インテル)、ロイ・マカーイ(バイエルン・ミュンヘン)のように、ストライカーがつけているケースも目立つ。一概にエースナンバーというわけではない。
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以上の選手はいずれもチームの中心で、攻撃の核である。ただ、これらの選手達を司令塔と呼ぶ事に違和感を覚える人がいるかもしれない。なぜなら日本でよく言われる司令塔とは、トップ下にいるパサーしか指していないからである。あるいは、ゲームメーカーと言った方がしっくりくるかもしれない。ただこのゲームメーカーにしても、実は和製英語である。英語では本来、プレーメーカーと呼ぶ。攻撃のリズムを作る者、アクセントをつけられる選手=プレーメーカーと考えれば、前述した全ての選手を指す事ができる。そして、このプレーメーカーはチームに複数いる事が珍しくない。

バルセロナ DH:シャビ OH:デコ FW:ロナウジーニョ
ミラン DH:ピルロ OH:カカー ルイ・コスタ
イングランド代表 CH:ジェラード ランパード SH:ベッカム ジョー・コール


どんなに名選手でも、コンディションや相手によって力が発揮できない時もある。そうなった時にチームが1人の選手に頼っていては、試合に勝つ事は出来ない。ましてやクラブや代表の試合数が多い現在では、調子を維持するのが非常に難しい。その為、チームに何人有能なプレイメーカーを抱えられるかがポイントとなる。攻撃の目的とは最終的にシュートを打つ事(ゴールはその結果)であり、どうやってそこに結びつけるか考えなくてはいけないのだ。例えばFWに力がないのに、パスを出す司令塔を増やしてもシュートできるだろうか。打てたとしても、枠を外してばかりでは仕方ない。そういう状況で「司令塔は単独がいい」「いや、ダブルの方が」などというのは、かなり虚しい議論である。
しかし様々な種類があるプレーメーカーの中で、日本人が司令塔タイプを好むのもまた事実。なぜなのか、理由を考えてみた。

◆ 日本人はなぜ司令塔が好きなのか

大きく分けて、理由は2つあると思う。まず1つ目。以前決定力とは何かという記事でも書いたが、日本は伝統的にパス好きの国である事。その象徴的存在がパサーであり、司令塔なのだ。もう1つは、日本で最も人気のあるチーム、日本代表の影響と考えられる。歴史を少し振り返ってみよう。 ※所属クラブは全て当時のもの。

代表の人気が盛り上がったのは、1992年のアジアカップ広島大会からと言える。続く1993年のアメリカW杯予選で敗退するまでチームを率いていたのがハンス・オフト。そしてチームの中心にはラモス瑠偉(ヴェルディ川崎)がいた。以降1994年のファルカン、1995~97の加茂周と続く中で沢登正朗(清水エスパルス)岩本輝雄(ベルマーレ平塚)前園真聖(横浜フリューゲルス)名波浩(ジュビロ磐田)などが注目される。アトランタ五輪のあった1996年に前園の人気は非常に高かったが、A代表には定着する事が出来なかった。もっともオフトから加茂に至るまで、代表のスターの座はFW三浦知良(ヴェルディ川崎、ジェノア)のものだったが。
          前園 真聖                       名波 浩
前園真聖   名波浩

その状況が変わるのは、監督が岡田武史になってからである。1997年11月イランとのフランスW杯出場をかけた試合で3得点を演出した選手が、脚光を浴びる。中田英寿(ベルマーレ平塚)である。加茂の時は4-2-2-2にする事が多かったチームは、本大会で3-4-1-2を採用。トップ下には中田英が入った。しかしトップ下という言葉が一般的になったのはこの時ではない。監督がフィリップ・トルシェに替わり、中村俊輔(横浜Fマリノス)小野伸二(浦和レッズ)小笠原満男(鹿島アントラーズ)といったメンバーが加わってからの話だ。フラット3で知られるフォーメーションは、3-4-1-2。特にトップ下にこだわる中村が韓日W杯代表メンバーから洩れた事が、人々に「あそこのポジションは司令塔の選手が入るんだな」と、いう事を印象づけた。結局W杯にトップ下として出場したのは、中田英と小笠原である。
             中田 英寿                     中村 俊輔
中田英寿   中村俊輔

そして現在のジーコ。どうにか4-1-3-2にしようと努力していたものの、結果として3-4-1-2に落ち着いている。つまり、岡田の時代から7年もトップ下のあるフォーメーションを日本代表は採用しているのだ。現在、中村はようやくレギュラーを手に入れ、小笠原や中田英がそれを狙う形となっている。これでは日本代表しかサッカーを観ない人にとって、司令塔=トップ下と考えるのは無理もない事だろう。専門誌やCS放送のサッカー番組では、そんな事は言わない。しかしスポーツ紙や地上波民放が司令塔という言葉を多様している為に、どうしても印象が強い。司令塔をプロ野球における「4番打者」や「エース」に相当するものとして扱っているのだ。
             松井 大輔                     山瀬 功治
松井大輔   山瀬功治

松井大輔(ル・マン)山瀬功治(横浜Fマリノス)など、日本代表の次代を担う世代でもOHに人材がいる。ゆえに、今後も司令塔を重視した報道は続くだろう。しかしパサーだけで試合に勝てるほど、サッカーは甘くない。そしてパスやフリーキックがうまくてテクニックのある選手は、トップ下以外でも活躍している。そういった事を念頭に置いて観戦すれば、より広くより深くサッカーを楽しめる事だろう。そんな人が増えてくれる事を、私は願っている。代表に高いレベルのプレーを求めるのならば、ファンや報道にも相応の意識が求められるのではないだろうか。
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■コメント
のし
- 2005/05/19 1:13
相変わらずの深い考察、お見事です(^^ゞ今回はまた大作ですねぇ~!内容もまた実に深い。さすがです(^_-) 特に「日本人が司令塔タイプを好む」あたりの考察が興味深かったです。 確かに、日本代表特有の現象かも、、、 世界のサッカーを見ている人にとっちゃ、「司令塔」なんて言葉は「死語」に近いんですけどね!?いまだに、「今日の試合の司令塔は中田か中村か?」なんて議論がされてること自体、恥ずかしい(ーー;) この辺が改善されたとき、日本代表チームもまた一歩世界のトップへと近づくことが出来るんでしょうね(^_-)

★丁寧なコメントをくださり、ありがとうございます。前々から気になっていたテーマなんですが、書いてみたら結構時間がかかりました(^^;)。 海外サッカーで気になるのは「誰がチームで重要な存在か」って事であって、司令塔ではないですよね。そこらへんの報道は、15年くらい遅れている気がします。 結構根深い問題じゃないかな、と私は思います…。
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