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梶井基次郎の桜と檸檬

あなたは人目のお客様です。

関東の桜は満開を迎え、この週末はどこの花見スポットも多くの人で賑わっている。わざわざ人込みに行く気になれない私は、近所の小さな公園に咲いているのを見上げる程度。だが、それで十分に花の美しさを愛でる事はできる。そんな私の頭によぎる言葉が、1つある。

「桜の木の下には死体が埋まっている」

聞いた事がある人は多いのではないだろうか?色々なところで使われているが、出典は作家・梶井基次郎が1927(昭和2)年に記した『桜の樹の下には』という短編である。冒頭を引用しよう。

桜の樹の下には屍体(したい)が埋まっている!これは信じていいことなんだよ。何故(なぜ)って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

最初言葉を聞いた時は「人を殺した人間が死体を埋めた」か、それとも「土の中にある死体を見つける」話なのかと思った。実際はそうではなく、あくまで主人公の想像の産物である。が、それは作者自身の考えた事ではなかったか、と私は思う。

梶井の代表作である『檸檬』(れもん)にしてもそうだ。
あらすじを言うと、「胸と精神を病んだ貧乏な青年が、京都に住んでいる。街を歩き色々な物を見るが、気分は晴れない。ある日八百屋で見かけたレモンを買い、その鮮やかな色や匂いに気持ちが満たされるのを感じる。その足で本屋に向かうが、店に入るとまた気分は暗くなってくる。棚にある画集をいじりまわした挙句、その上にレモンを置いて立ち去る」というもの。これまた不思議な作品である。ここで作者のプロフィールを見てみよう。

梶井基次郎
1901(明治34)年、大阪に生まれる。18歳で旧制第三高等学校(現在の京都大学教養課程)に入学。理系学部に進む予定だったが、音楽や文学に慣れ親しむ。19歳の時に結核(※)の症状が表れる。その後酒を飲んだり、遊郭に通ったりと退廃的な生活を送るようになる。学校の勉強はあまりしなかったようだ。卒業試験を受けた後に人力車で教授宅を回り、重病を装って頭を下げている。それが功を奏したのか、何とか卒業。1924(大正13)年、東京帝国大学文学部英文科に入学。同年に処女作『檸檬』を発表。体調が悪化した為に大学卒業を断念する(後に除籍)。以降も文学活動に取り組むが、1932年に死去。享年31歳。
※当時は死病と言われるほど、深刻な病気だった。現在はかかる可能性が低く…BCG注射がこの予防にあたる…かかっても薬で治療可能。

結核になったのは気の毒だが、何とも不健康な生活を送っていたようである。うつ病にもかかっていたようだ。ただしその原因は病を苦にしたわけではなく、高い創造性を持っていたから、とも言われる(芸術家はうつ病になりやすいらしい)。こうした背景を見ると、『檸檬』の主人公は梶井自身だったと考えられる。しかし彼の作品を読むと病的なものは伝わってくるものの、文章のタッチは明るい。映像的で、透明感もある。作家として活動したのは7年で、発表した作品は20の短編だけ。しかし死後70年以上経った今も、作品の輝きは色あせていないと感じる。

ありがたい事に、梶井基次郎の作品はWebサイトで閲覧することができる。
  『桜の樹の下には』 青空文庫版 新潮社版 
  『檸檬』 青空文庫版 新潮社版
※青空文庫はテキストファイルかHTMLファイル。新潮社は横書がすぐに読める。

合わせて20分ほどで読めるので、興味を持たれた方は目を通してみてはどうだろう。桜の季節に楽しむのは、何もお酒や食べ物だけではない。

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■コメント
A
- 2005/04/10 20:05
こんにちは(^_^)/~ 「檸檬」!とても懐かしいです。高校3年生の時に読みました。予備校の先生が、「あのレモンを見て心が満たされていく様子を描いた部分がたまらなく良い!」と言って大絶賛されていたので、読んだ記憶があります。文章が難解で、理解するのに時間がかかりました(>_

★おぉ、昔読まれたんですねー。教えを受けた先生が好きな作品って、結構印象に残るものですよね。また受験勉強している時って、勉強以外の事をやりたくなったりしますしw短い作品ですから、時間のある時にまた読むのもいいかもしれませんね。

☆Alice☆ - 2005/04/11 12:28
【桜の木の下には死体が埋まっている】 …聞いた事あります。【死体の血を吸って桜の花びらは薄いピンク色】とも聞いた事あります。私の通っていた学校(中学)ではそこから発展して怪談話にもなっていたよぅな…。今でも沢山の人が、ドコかで『桜の木の下には死体が埋まっている』と耳にしていると言う事は如何に、その本が強烈な印象を残したのか… とゆぅ事の表れかもしれませんねぇ!!

★なるほど、怪談ですか。確かにそういう話に結びつきやすいですね。言葉にあるオカルト的な要素が、人を惹きつけるのでしょう。ですから、「桜の樹の下には…」と言っている人で梶井の事を知っている人は、そんなに多くないと思います。

探偵 - 2005/04/11 16:44
こんにちは。私も☆Alice☆さん同様に血を吸って、桜は鮮やかな色を出すって話を聞いた事があります。でも、このフレーズで「ラーゼフォン」を思い出してしまった私って・・・オタク?この世界で敵対する人間の血が青いから、咲く桜の花びらも青いとかなんとか。。。まぁこの作品の中でもその話は単なる噂話なんですけどね。ちょっとネタがマイナーすぎました(笑)

★ラーゼフォンですか…恐らく1、2回観た事はあると思いますが、話の内容は全く覚えてないですねー。そういう作品のモチーフにもなっているのかもしれませんね。

はらみょん - 2005/04/11 22:49
お久しぶりです!!梶井基次郎ぼくも好きです。特に紹介された2作品が印象深いですね。でもやはり、難しい・・・

★はらみょんさんもお好きなんですか。この2作品は気になる内容ですよね。文章量は短いながら、解釈は難しいかもしれません。

Birigian - 2005/04/11 23:25
こんばんわv 「桜の木の下には死体が埋まっている」時々漫画とかでも使われている言葉ですが、原点はそこだったんですね~勉強になります。面白そうなので、暇な時にでも読んでみます♪

★確かに、漫画でも出てくるかもしれません。色々読まれているBirigianさんは、目にした事があるかもしれませんね。本当にどちらも短いので、すぐに読めますよ。
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