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吉井妙子【頭脳のスタジアム】

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吉井妙子【頭脳のスタジアム】 単行本:208頁 出版社:日本経済新聞社
 価格:1680円 初版:2005年7月16日

  評価:85点

一流のプロ野球選手は、どういった取り組みをしているのか。肉体の鍛錬とケア、精神の修養、理論と実践、用具へのこだわり…それらをスポーツライター吉井妙子が聞き出した。
とりあげた選手はこの8人。松坂大輔(投手-西武ライオンズ)、城島健司(捕手-福岡ソフトバンクホークス)、松中信彦(内野手-福岡ソフトバンクホークス)、和田毅(投手-福岡ソフトバンクホークス)、宮本慎也(内野手-ヤクルトスワローズ)、和田一浩(外野手-西武ライオンズ)、五十嵐亮太(投手-ヤクルトスワローズ)、豊田清(投手-西武ライオンズ)。※所属は2005年時。
いずれも秀でた成績を残した選手ばかりであり、特に身体的能力に恵まれない和田毅と宮本慎也の章は、考えさせられる内容である。熱心なプロ野球ファンなら一読に値する本と言えよう。ただ内容が文字ばかりなので、図や写真による解説があったらより理解しやすかっただろう。

本の内容もさることながら、唸らされたのは「あとがき」の内容である。そもそもこの本が作られるきっかけとなったのは、2004年のプロ野球騒動にある。近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの合併話、1リーグ制移行の論議、近鉄買収に名乗り出たライブドア堀江貴文社長についての人物評、オーナーと選手会の対立、プロ野球史上初のストライキ。ダイエーホークスはソフトバンクに買収され、新球団東北楽天ゴールデンイーグルスの誕生。試合以外のことで、メディアがこれほど野球を取り上げた年はなかったかもしれない。

その中で、読売ジャイアンツオーナー・渡辺恒雄は「たかが選手」と語った。後に渡辺は「あの発言は自分の本意ではなかった」と雑誌で語ったが、繰り返しテレビで流される映像を見て激怒したプロ野球ファンは数多い。私もそうだったし、筆者もまたその1人である。少し長くなるが、「あとがき」の一部を引用させてもらおう。
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しかし、(渡辺の)深層心理にそんな意識がなければ、とっさの場でそのような言葉が口を突くはずがない。
私はいまだにそんな偏見がはびこっていることに怒りを感じた。企業のトップや政治家などは知的水準が高くて、スポーツ選手は「筋肉バカ」という短見である。しかも、世の中を知り尽くしているはずのメディアのトップから出た言葉ということに憤りが湧いてきたのである。

スポーツ現場に長年かかわっていると、トップアスリートたちの知性の高さに驚かされることが多い。もちろん、その競技の頂点に辿り着くには、身体的な能力はもちろん、技を磨くための知恵や知識、自分をコントロールする術、他人を見る目、組織を動かす洞察力、自然をも利用する観察力、そして勝負の瀬戸際では瞬時に正しい判断、決断などが必要とされるため当然といえば当然だが、同時に彼らは脳や感覚をも鍛えあげている。「勉強では使わない小脳を動かしている意味では、人間の行動としては上」と、本文中で語っていた湯浅景元・中京大学体育学部教授の言葉を借りるまでもなく、「スポーツ選手=頭が悪い」という図式は成り立たない。

日本社会では「頭が良い」という表現は、勉強ができることと同義語で使われている。しかし厳密に言うなら、知識(Knowledge)と知能(Intelligence)は違う。頭の良し悪しは、知識の多寡で判断されがちであるが、本来は知能の方が人生では重要だと思う。知識は、時間があれば詰め込める。時間をかけさえすれば多くの人が知識をつけられるし、博学にだってなれる。

確かに、スポーツ界には知識に欠ける選手がいることは否定しない。彼らは、小さい頃からスポーツに没頭し、知識をつける時間が他の人より少なかったからだ。しかし彼らと言葉を交わしていると、物事への探求心や好奇心、観察力などにしばしば驚かされる。彼らの好奇心や探求心、あるいは集中力を、子供の頃に化学や物理に向けていたら、その道でも一流になっていたのではないかと思わされるのだ。そんな知能に裏打ちされているからこそ彼らは、十数年間の歳月でトップアスリートにまで自分を導くことができたのである。
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特に赤字の部分には、考えさせられた。一般社会においても、「勉強ができる=高学歴 or 知識がある or 資格を持っている」という見方は根強い。それらは普通の学校のテストで数値化できるだろうし、実績は履歴書に書ける。テレビでは「クイズ番組で答えられない=頭が悪い芸能人」という図式で番組を放映している。しかしその一方で、知能についての関心は低いし、測る適当な物差しもない。たとえば「新しい環境への適応力」や「未経験の局面を打破する力」については、知識だけでは判断できないはず。

「時間があれば知識はつけられる」という主張には必ずしも賛同しないが、知能を養うことの難しさは認識しておくべきだろう。「子供の頃に化学や物理に向けていたら」という例え話は、さほど意味がない。人間、特に子供が好きなこと以外に努力するのは難しい。とはいえ、好きだからといって全力で努力することを誰しもできるわけではない。継続する意思や集中力といったものが分野を問わず重要であることは、間違いない。

「スポーツ選手は頭が悪い」という偏見を捨てるのと同時に、まかり通っている「頭が良い」という言葉の使い方も、考え直すべきではあるまいか。この本を読んで、そんなことを考えた。 (読了日:2007年9月18日)

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