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コリアンジャパニーズ

あなたは人目のお客様です。

最近この2人の顔を、テレビで見ない日はない。サッカー北朝鮮代表選手に選ばれたJリーガー。李漢宰(リ・ハンジェ)*サンフレッチェ広島 安英学(アン・ヨンハッ)*名古屋グランパスエイト 知っての通り、2人はコリアンジャパニーズである。李漢宰は広島朝鮮高級学校、安英学は東京朝鮮高級学校の出身。彼らは代表から、日本側の情報提供を期待されている。同時に日本のマスコミからは、チームのスポークスマンたる事を熱望されている。今のところ、どちらの役割もきっちり果たしているようだ。受け答えを聞いていると、真面目な性格が伝わってくる。育ってきた日本に愛着を抱きながらも、母国への強い誇りを忘れない男達。彼らを見ていると、私はある男を思い出す。キムという、コリアンジャパニーズの事を。

私がキムと知り合ったのは、大学時代。1年の時にクラスが一緒だった。互いに自己紹介をした時に「なぜこの大学に来たのか」という話になった。キムはある教授の名前を挙げ、「彼の講義を受けたいから来た」と言った。その教授は、環境問題に関して日本では第一人者と言われる人だった。私は尋ねた。「環境学を学んで何かやりたい事があるのか?」彼は答えた。「僕はあの国を良くしたい」 あの国とは、北朝鮮の事だった。「自分は北朝鮮に行った事はない。けれど、国の内情については僕ら独自のルートで情報が入ってくる。はっきり言って、君達が想像してるよりずっと酷い。公害とかも半端じゃない。僕は日本でしっかりと勉強して、あの国に行く。そして腐ってる上層部を追い出して、住みやすい国にする」 初めて聞いた時は面食らったが、キムの顔は真剣だった。
「…それはつまり、君が北朝鮮でかなり上のポストに就く、という事なのか?」 「うーん、そうなるね」 「わかった。じゃ、いずれVIPとして招いてくれ」 「おぉ、そうするよ。是非来てくれ」
そして私達は、友達になった。

キムはとても優秀な男だった。講義には必ず出席し、教授にもよく質問をしていた。周りからの評判も良かった。ただ、人との会話で熱くなる事が時々あった。特に政治や社会についての話題になると、その傾向が強かった。彼は言った。「この国で君達は何をやっているんだ?」君達とは、日本人全般を指していた。「僕ら在日は、真面目に働いて税金を払っても参政権がない。けれど、国籍を持っている君達は違う。もっと色々な事ができるはずだ」  彼の言う事はもっともだと思ったが、私が「そのとおりです。すみません」と謝ったところで大した意味はない。「じゃ、君はどうすればいいと考えるんだ?」私はそう言って、彼と様々な議論を交わした。恐らくキムは、自分の境遇に対するやるせなさを、抑えきれなかったのだと思う。彼は小中時代を朝鮮学校で過ごした。「教えられている事がおかしいと思った。狭い世界に我慢できなくなった」彼は、公立高校を受験する事にした。進路を決めてから、教師や周りの生徒からいじめを受けた。高校は楽しかった。大学にも進んだ。けれど、どこまでいっても国籍はついてくる。海外旅行にも簡単に行けない。日本人からは「在日朝鮮人」と言われ、韓国に行けば「日本人」と言われる。…話を聞いてる私も、気が滅入るような内容だった。
「20歳になったら、国籍を選べるんだ」と彼は言った。彼には選択肢が3つあった。北朝鮮、韓国、そして日本。入学当初の彼だったら、迷わず北朝鮮を選んだだろう。しかし大学で約2年過ごした彼は、少し迷っているように見えた。誕生日前日に彼に会った時、私は言った。「もしよければ日本人になって、一緒にこの国を変えてみないか」。すると彼は私の顔を見て、ニヤっと笑った。「誘ってくれるのは嬉しいけど、僕はやっぱりあの国を良くしたい」

大学卒業後、キムは院に進み、私は就職する事を選んだ。彼は大阪へ、私は東京へ。その次に会ったのはおよそ2年後。彼は院を卒業し、東京に出てきた。大手電機メーカーで働く事が決まった為だった。学んできた事を生かし、環境への負担が少ない機器を作る仕事。「良かったな」と、私は言った。「これで夢へ近づいたじゃないか」 しかし、彼の表情は硬かった。
「国籍を韓国に変えた」 彼は、そう言った。それが内定を貰う為の条件だった、と。それでいいのか、君はもうあの国に入れないんだぞ。私の言葉を、彼は黙って聞いていた。そして一言だけ、「すまん」、と洩らした。その言葉は多分、私だけに向けられたものではなかった。

その後彼とは連絡が取れなくなった。他に親しかった人間に尋ねても、皆わからないと答える。今彼がどこで何をしているのか、誰も知らない。
キムは今度の試合を観るだろうか。特別サッカーが好きというわけではなかった。けれど、日本国内で北朝鮮の応援を出来る機会は、そうあるものではない。国籍は変わっても、彼の国を思う心は変わってないと、私は思う。「君達の国が強いのは知ってる。けど、僕達の国も簡単には負けないよ」そんな事を言いながら、どこかで観戦するのではないか。彼ならば、きっと。

2006ドイツW杯アジア最終予選
グループ2 第1節 日本×北朝鮮
試合まで、あと7日。


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■コメント
Ray
- 2005/02/03 3:24
今日の記事、興味深く読ませてもらいました。 うちの学校は、日本の学校法人ではないので、結構在日の方々もいますが、彼らの立場って本当に複雑ですよね・・。 僕ら世代の連中ですと、保守的な上の世代の考えには付いていけないにも、日本人にはなれない・・というジレンマを抱えてるみたいです。(単に帰化するしないの問題だけではなく) 留学時にも色々な国の友人と出会いましたが、「自分の国を変える!」という意気込みは熱いですね! 特にアフリカ出身者に多かったです。 彼らが自分に与えてくれた影響はホントに大きいです。 あと、思い出したのが「韓流ブーム」なんぞ無かったときに固い結束で、アメリカ学生生活をともにした韓国人の連中・・。何人かとは兄弟と呼び合ってましたが、みんな元気かな~とガチャピンさんの記事読んだ後、ふと思いました。^^

たく- 2005/02/03 13:48
Imagine there's no countries It isn't hard to do Nothing to kill or die for And no religion too Imagine sll the people Living life in peace.... You may say I'm a doreamar But I'm not the only one I hope someday you'll join us And the world will be as one ぼくは、非戦論者でもなんでもない。 人間が人間である以上、争いはやむことは無いだろう。 そう。 むしろ、人間性悪説(筍子とは違うかも)を肯定する。 でも、イマジンの思想は大好きで、実現できる未来だったら最高だろうって思う。 人間は自らの体で感じ、脳で考え、自らの選んだ道を歩んでいける足もある。 当然、生ある以上、考えなんて変わるし、変わって(成長して)しかるべき。 いろいろ理由もあると思うけど、 その考えの帰結点は、誰のためでもなく自分の為。 別に悲観してる訳でも、さげすんでる訳でもなんでもない。 ただ、 それでいい。 それでいいと思う。 まとまりないけど、ガチャピンのコラム見てて、ふと思ったことでした。

姫。 - 2005/02/03 14:37
グッときちゃいました…。(涙) 同じ環境で育ってきたから…胸に響きました。 前を向いて胸を張って歩ける勇気をもらいました。ありがとうです。

Alice - 2005/02/03 22:53
何て言ったらイィのか解らないけど… キムさんが【国籍を変えざるを得なかった】それがこの国の実情なのかなぁ…と。正直言って、北朝鮮にはあまり良ぃイメージは持ってなぃです。でも、国籍に罪はなぃと思ぅんです。在日の方との接点はなぃので実際に想像する事も難しぃ問題なのですが…。元彼に在日コロンビア人がいたり昔から外国の人と接する機会があったので個人的には国籍に拘りはなぃと思ぃます。ドコから来て、ドコに住んで、ドコに行こうと日本国籍でも、北朝鮮国籍でも、アメリカ国籍でも嫌ぃな人はやっぱり嫌ぃだし、好きな人は好き!一個人として相手を見れたら良ぃなぁ!と思ぃます。 コリアンジャパニーズの現状は昔の(今もあるのかな?) 白人と黒人を両親に持つ子供が白人には黒人と言われて差別され黒人には白人と言われて差別される話に共通する点もあるのかなぁ…と思いました。 何か長々と意味不明なコメントになってすぃません。不適切な言動もあったかもしれません。不適切だと感じたら削除してください。

yamato5314 - 2005/02/04 21:50
この記事を見て自分の普段の姿勢の幼稚っぽさが浮き彫りになったような感じです・・・ 何ていったらいいのかわからないけど心に問いかけらるような記事でした。 本当はもっとコメントしたいのですが上手く言葉になりません・・・すいません。

1Kate☆1 - 2005/02/06 16:59
私は、選挙には一度も行ったことが無い。政治に関心がないわけでなく、逆に国会中継だって見ている位だ。自分が支持したい人がいないだけのことだ。 でも選挙権があっても、政治に関心がない人は確かに多くいて、選挙権が欲しい在日の人も多くいて、だからと言って、日本国籍ではない人に選挙権が与えられ、しかも立候補まで出来てしまうなら、それは感情的に語られてしまうには、非常にデリケートな話であると思う。 難しい問題ですよね。でも、難しいからと言って棚の上に置き去りにしてはいけないんだ。「think think think・・・」皆で考え続けよう。

15-いちご- - 2005/02/06 18:58
この記事を読んでから、すぐにはコメントがかけませんでした。 国籍って、何で必要なんでしょう?何のメリットがあるのかわかりません。ある国に暮らしている人が、その国に対して何かして欲しいと思うとき、アクションが起こせない。起こす権利がない。それどころか、普通のことすらできないこともあるなんて。 国籍が原因で、自分の信念を曲げざるを得ない人たちがきっと凄くいっぱいいるんだろうなと思います。何人も生まれる所は選べないのに。 P.S. リンク追加の件ですが、諸事情で今月いっぱいでブログを閉めてしまうのでもし短期間でもよろしければ、どうぞリンクしてやって下さい。私の方でもぜひ、リンクさせていただきますー。

★コメントいただいた皆様へ

本来ならば1つ1つのコメントに返信させていただくところですが、どうお答えすればいいのか、正直わかりません。申し訳ありませんが、今回はコメントへの返信はなしとさせていただきます。でも書いてくださった皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。新たなコメントも歓迎します。今後ともよろしくお願いします。
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